水戸芸訪問記

「人生の夏休み」(=大学生活)の最後の夏休みを過ごしています、川村彩乃です。
参加した水戸芸術館(水戸芸)での博物館実習のお話をします。

実は私は商学部の学生なのですが在学中に現代美術に興味を持ち、大学にいながら美術に触れられたら、と学芸員の資格課程を受けています。
実習先に水戸芸術館を選んだのは、地方の都市に現代美術館って…どうなの?と思っていたから。(ごめんなさい。)ずっと東京で生活しているので地方のことを知らなくて少しでも滞在したいなとも思っていました。
ちなみに、水戸芸は22歳。22年前にこんな斬新な美術館が生まれたなんて、すごいことだと思っています。(詳しくはこちら http://arttowermito.or.jp/

実習の期間は2日~1週間が相場の中、水戸芸では11日間。作品を扱ったりする実技実習はなく、座学(館内スタッフ、学芸員にお仕事の話を聞く)とワークショップのサポートをずっとやっていました。

実習生は私を含め 6人。アーティストを目指す美大生、図工教師を志す学生、演劇に興味のある学生など、みんな茨城にゆかりがある学生でした。(納豆はそんなに食べないらし い。)

11日間を終えて水戸芸は本当に現代美術の美術館なんだな、と思いました。実習を通じて「何で現代美術って面白いんだろう」という ことを考えたのですが、開かれているところが好きなのかな、と考えました。「こんなところでやっちゃうの?」、「こんな自由でいいの?」、「混じってもいいの?」とドキドキしたときやっぱり好きなんだなと思います。
水戸芸を見て、開かれ続けているということが実はすごい事なのだ、ということを感じました。

ここで言っている「開かれる」は「参加できる」という意味合いがちょっと大きくなってますが、開かれている場を22年間も保ち続けるにはものすごいエネルギーが必要。職員の人たちもどう地域や人と関わっていこうか、ずっと試行錯誤していたようです。

いろんな人が集まっていい。西尾さんのお言葉を借りると 22年間ずっと「ひとつになる修行」をしてきたのです。イベントのお手伝いを募るとすぐ20人くらい集まったり、職員の人がボランティアの方の活動を手伝ったり。暖かい関係性が家族のようでした。チーム水戸は強いなと思いました。

私の言葉だけではうまく伝えられないので、水戸で会った人の言葉を引用します。

― 「あの古着は1週間で集められたよ。水戸の人は『誰かがやってくれる』ではなく、『自分がやらないといけない』と思っているからね。」(アートナイトの時に古着1000着を集めて持ってきてくださった紙問屋の神尾さんより。「なぜあんなに古着を集めることができたのですか?」と尋ねて。)

―「たとえ現場がピリピリしていたときでも、私が空気清浄器のような存在になって空気をなごやかにできればいいのよね。」(お世話になった教育普及担当の方より。)


水戸芸は「種まき」をしているんだそうです。そこでどんなことが起こるかは予想できない。ある作品を見たり、何かに参加した経験がどこかで何かのきっかけになるかもしれない。例え美術の道に進まなくても種を持っていてほしい、育ててほしい、と。

水戸芸は東京から得たものを伝えるのでなく水戸から発信をしていました。美術館があることで、地域に循環されていくものを感じました。